月次財務参謀顧問で見ること

月次損益

月次損益

まず、毎月の利益を確認します。ただし、見るのは単なる黒字・赤字ではありません。

診療科目別、保険・自費別、分院別、医師別、曜日別、時間帯別。必要に応じて、経営判断に使える単位へ分解していきます。

売上が増えているのか。患者数が増えているのか。患者単価が上がっているのか。初診・再診の構成が変わっているのか。自費診療の比率が上がっているのか。返戻・査定が増えていないか。人件費や材料費が重くなっていないか。利益が出ているように見えて、一過性の要因に支えられていないか。

こうした数字の背景まで、あわせて確認します。

医療機関では、収益と費用を「診療行為」「患者数」「点数」「請求」「入金」「固定費」の流れで見ることが大切です。

損益計算書だけでは見えにくい診療現場の動きを、月次の数字に接続していきます。

 

月次財務参謀顧問で見ること

資金繰り

資金繰り

医療機関では、利益と資金繰りがずれやすい、という特徴があります。

借入金の元本返済は、損益計算書の費用には出てきません。そのため、試算表では黒字でも、返済後の現金が残らない、という状況が起こり得ます。

医業未収金が増えている。賞与月に資金が薄くなる。納税月に預金が大きく減る。医療機器のリース料が固定費として重くなっている。保険診療の入金前に、薬品・材料・人件費の支払いが先に来る。こうした動きを見なければ、経営の安全性は判断できません。

月次財務参謀顧問では、月末現預金、医業未収金、患者未収金、買掛金・未払金、人件費、税金、賞与、返済予定を確認し、少なくとも数か月先までの資金繰りを見えるようにしていきます。

今月払えるかだけでなく、賞与月、納税月、設備更新月に耐えられるかどうか。実務の現場では、ここが大切なポイントになります。

 

月次財務参謀顧問で見ること

借入・リース・分割払い

借入・リース・分割払い

クリニックの借入は、銀行借入だけにとどまりません。

医療機器のリース、内装工事の分割払い、親族からの借入、院長個人で負担している関連ローン、承継時の持分取得資金、医療法人の設備資金、分院展開時の開業資金。実質的に返済が必要なものは、まとめて見ていく必要があります。

金融機関別ではなく、クリニック全体で見る。返済額、支払利息、残高、完済時期を一覧にする。投資前に、返済後の現金が残るかを確認する。借りられるかどうかではなく、返しながら続けられるかどうかを見ていきます。

設備投資や分院展開の判断では、借入額そのものよりも、毎月の固定返済額が診療体制に与える影響が重要です。

売上が計画どおりに伸びなかった場合でも、給与、家賃、薬品費、税金、返済を無理なく支払えるか。ここを事前に確認しておくことが、前向きな投資を守ることにつながります。

 

月次財務参謀顧問で見ること

人件費・採用・配置

人件費・採用・配置

医療機関では、人件費を単純に削ればよい、というわけではありません。

受付、看護師、医療事務、検査技師、歯科衛生士、リハビリ職、管理栄養士、訪問診療の同行スタッフ。必要な人員がいなければ、診療体制そのものが崩れてしまいます。一方で、採用すれば固定費は増えます。

採用すべきか。既存スタッフの配置を見直すべきか。外部委託を使うべきか。診療時間や予約枠を見直すべきか。施設基準や加算の取得に必要な人員を確保できるか。

人件費率という一つの指標だけでなく、診療体制、患者数、算定項目、施設基準、残業、離職、教育コストまで含めて確認していきます。

医療機関の人件費は、いったん増えるとすぐには下げにくい固定費です。

だからこそ、採用前に「何のために採用するのか」「どの収益や業務改善につながるのか」「既存スタッフの配置で対応できないのか」を整理しておくことが大切です。

 

月次財務参謀顧問で見ること

設備投資・分院・移転

設備投資・分院・移転

医療機器の導入、内装改修、移転、分院展開は、いずれも前向きな意思決定です。ただし、投資した時点から返済やリース料は始まります。

売上が立ち上がるまでの期間、採用コスト、広告費、家賃、人件費、追加設備費、電子カルテやレセコンの更新費用。これらもあわせて見ておく必要があります。

月次財務参謀顧問では、投資の採算だけでなく、資金耐久力を確認します。

本院単独で利益と現金が残っているか。新拠点が黒字化するまで、本院が支えられるか。計画未達時に、どこまで耐えられるか。追加借入に頼りすぎていないか。更新投資の時期が重なっていないか。

売上計画よりも先に、資金耐久力。ここを外すと、良い投資であっても経営を苦しくしてしまうことがあります。

 

月次財務参謀顧問で見ること

施設基準・加算と数字の接続

施設基準・加算と数字の接続

施設基準や加算は、収益改善につながることがあります。ただし、収益面だけで判断するのは危険です。

追加人員、研修、記録、会議、設備、院内掲示、ホームページ表示、請求チェック、定例報告、行政対応。こうした管理負担まで含めて見なければ、実質的な利益は判断できません。

施設基準については、届出後も内容の確認、報告、掲示、記録整備が重要になります。たとえば地方厚生局資料では、届出内容の調査・確認、毎年8月1日現在での報告、院内掲示やホームページ掲載の必要性などが示されています。

当事務所では、施設基準の制度判断そのものを単独で請け負うのではなく、収益、コスト、資金繰り、月次管理への影響を整理します。

必要に応じて、社会保険労務士、行政対応の専門家、関係機関とも連携しながら、数字に落として確認していきます。

 

月次財務参謀顧問で見ること

医療法人運営・承継

医療法人運営・承継

医療法人では、一般企業とは異なる注意点があります。

法人に利益を残すこと。役員報酬や退職金の設計。法人と院長個人の資金関係。持分の有無。基金。後継者への承継。親族間の公平性。関係者取引の整理。MS法人との取引。医療法人としての透明性。分院や附帯業務の管理。

医療法人は、税金だけで考えるものではありません。将来の承継、金融機関への説明、職員への責任、地域医療の継続まで見据えて、数字と体制を整えていく必要があります。

当事務所では、医療法人の月次数字を確認しながら、役員報酬、退職金、資金繰り、承継、法人運営の論点を整理していきます。

特に承継を見据える場合、月次の数字が整っているかどうかは重要です。

後継者、金融機関、譲受候補者、親族に対して、収益、資金繰り、借入、設備、職員体制、関係者取引を説明できる状態にしておくことで、将来の選択肢は広がりやすくなります。

 

月次財務参謀顧問で見ること

銀行対応・金融機関への説明

銀行対応・金融機関への説明

医療機関では、設備投資や移転、分院展開のタイミングで、金融機関との関係が重要になります。

金融機関に説明する際に必要なのは、決算書だけではありません。足元の月次数字、資金繰り、借入一覧、返済予定、設備投資の目的、投資後の収益見通し、返済原資、医業未収金やリース負担の状況、院長・理事長の今後の方針。こうした情報を、同じ前提で説明できる状態にしておくことが大切です。

TKCモニタリング情報サービスは、TKC全国会会員が毎月の巡回監査と月次決算を実施したうえで作成した月次試算表、年度決算書などの財務情報を、経営者からの依頼に基づいて金融機関へ開示する無償のクラウドサービスとして案内されています。また、2026年1月27日のTKC発表によれば、同サービスの採用金融機関数は2025年12月末時点で500機関に達し、利用件数は37万件超とされています。

金融機関対応は、決算書を提出して終わり、というものではありません。

毎月の数字を整え、必要なときに説明できる状態をつくる。ここまでを、当事務所では月次財務参謀顧問の重要な役割と考えています。